この世での役割を全うする

「私は何のために生まれてきたのだろうか」

そのように思ったことはありますか？

　

私たちは日々、多くの出来事に巻き込まれながら生きています。

目まぐるしく過ぎていく時間の中で、自分の存在の意味や、果たすべき役割について深く考えることは、案外少ないのかもしれません。

どんなに静かで目立たない人生であっても、誰もがこの世に何らかの役割を与えられている…そう信じて生きることは、人生の質そのものを大きく変えてくれる気がします。

役割とは、決して華やかな成果や称賛の中にだけ存在するものではありません。

それは、日々の中で交わす言葉や、何気ない気配り、小さな選択や行動のひとつひとつの中に、静かに宿っています。

「自分の人生に意味があるのか」と思い悩むときもあるかもしれません。

けれど、存在そのものが、すでに誰かや何かにとっての意味を生み出していることもあるのです。

スピリチュアルな観点から見れば、私たちはこの世に生まれる前から、ある“意図”や“使命”を携えてこの世界に降り立ったとも言われています。

その使命は明確な形を取らないこともありますし、後になってから、ふと気づかされるものかもしれません。

　

私たちは、自分が「何者か」にならなければならないと思い込みがちです。

ですが、「誰かにとって価値ある存在であること」と、「社会的に認められる存在であること」は、必ずしも一致するわけではありませんし、そもそも役割というのは、外から与えられるものではなく、自分の内側で静かに芽吹くものであると思います。

　

たとえば、日々のささやかな選択。

誰かを想ってした行動、困っている人に手を差し伸べた瞬間、迷いながらも正直であろうとした決意。

そういったものの中に、私たちの役割の“かけら”がひそんでいるのです。

　

また、人生の中には、思い通りにならない時期もあるでしょう。

むしろ、そういう時間こそが、自分の役割に気づくための準備期間であるとも言えます。

何かを失ったとき、立ち止まったとき、心が空っぽになったとき。

そこから新しい気づきが生まれ、見えてくるものがあります。

重要なのは、何か大きな目標を掲げることではなく、「いま、この瞬間の自分にできること」に真摯であること。

心を込めて生きるその姿勢こそが、役割を全うするということにつながっていくのではないでしょうか。

たとえ今、道に迷っているように感じていても、あなたはもうすでに、その歩みの中で自分の役割を果たしているかもしれません。

完璧である必要はありません。

ただ、自分自身の魂の声に耳を澄ませながら、誠実に今日を生きていくこと。

その営みの中に、きっと「この世での役割を全うする」という答えが、そっと息づいています。