
『「原因」と「結果」の法則 ④ 輝かしい人生へ』ジェームズ・アレン

ジェームズ・アレンの『「原因」と「結果」の法則 ④ 輝かしい人生へ』(原題:The Life Triumphant、サンマーク出版)は、自己啓発の古典として、思考と心のコントロールを通じて人生の勝利を掴む道を示す名著です。
『As a Man Thinketh』をはじめとするシリーズ1~3で学んだ「原因と結果の法則」を土台に、本書は日常での成功と至福の世界への到達を諭します。
ジェームズ・アレンと本書の背景
ジェームズ・アレン(1864-1912)は、イギリス生まれの哲学者・著述家で、約9年間で19冊の著書を残しました。
1908年出版の『The Life Triumphant』は、心の状態が人生を形作り、自我を超越することで輝かしい人生を築く方法を説きます。
日本でも多くの読者に愛されています。
本書の核心 心のコントロールで勝利を
私たちの喜びや悲しみは、心の世界から生まれます。
多くの人が罪や悲しみの闇に生きる中、心をコントロールし、気高い人格を育んだ人だけが、清らかさと喜びに満ちた至福の世界に入れます。
アレンはこう述べます。
私たちはみな、自分自身の心の世界のなかで生きています。私たちの喜びや悲しみは、私たちの心が生み出すものであり、私たちの心によってのみ保たれます。
大多数の人たちが住む、罪と悲しみの闇に覆われた陰鬱な世界の真ん中には、少数の真に賢い人たちだけが住む、清らかさと喜びの光で満ちあふれた至福の世界が存在しています。そこに入ることができるのは、自分の心をコントロールすることに成功して、このうえなく気高い人格を身につけた人たちだけです。
ただし、その至福の世界は、闇のなかで生きている人たちが想像しているような、「はるかかなたにある、常人には到達不可能なゴール」などではありません。それはとても近いところにあり、そのなかに入ることは、そうするための方法を知り、それを実行することで、誰もが行えることです。
すぐに消え去る運命にある、実際にはパワーなどもっていないものの価値を信じ、それにしがみつきつづけているかぎり、私たちは、嘆き、悲しみ、罪を犯し、後悔する人間として生きつづけなくてはなりません。
しかしながら、その妄想を振り払い、本当にパワーをもつものにしがみつきはじめたときから、状況は一変します。そのときから私たちは、より良い人生を目指して、価値ある物事を次々と達成しつづける人間として生きはじめることになります。
『THE LIFE TRIUMPHANT(邦題:「原因」と「結果」の法則④輝かしい人生へ 坂本貢一[訳])』ジェームズ・アレン 著
この至福の世界は、たしかに、遠い夢や到達不可能なゴールではありません。
たとえば、毎朝数分の瞑想で心を静め、欲望や不安を手放す習慣を続ければ、誰でもその一歩を踏み出せます。
本書は、虚しい価値観(一時的な名声や物質)にしがみつくのをやめ、真のパワー(善や調和)を追求することで、人生が劇的に変わると説きます。
本書では以下を学びます。
- 内面の変革:心の状態を整えることで、外部の環境や状況に対応する力が生まれる。
- 認識のゆがみ:強さ、弱さ、信仰心に関する誤った認識を「法則」の視点で正す。
- 自我の克服:人間の最大の敵である自我(エゴ)を手放し、善の意識で生きる。
内なる変革 自我を超越し、輝く人生を築く
ジェームズ・アレンの『「原因」と「結果」の法則 ④ 輝かしい人生へ』(原題:The Life Triumphant、サンマーク出版)は、内面の状態を整えることで、現実世界にどのような変化が現れるかを鮮やかに示す一冊です。
この本は、心を上手にコントロールすることで、外部の環境や状況に柔軟かつ力強く対応する方法を具体的に教えてくれます。
たとえば、職場でのプレッシャーや人間関係の衝突に直面したとき、怒りや不安に飲み込まれるのではなく、静かな心で状況を客観的に見つめ、調和のとれた行動を選ぶ…そんな実践が人生を輝かせる鍵だとアレンは説きます。
本書はさらに、私たちが生きる三次元世界での「認識のゆがみ」を明らかにします。
たとえば、「強さ」とは他人を支配すること、「弱さ」とは失敗を恐れること、といった一般的な認識は、「原因と結果の法則」という真理の視点から見ると誤りです。
真の強さは、欲望やエゴを抑え、善と調和に基づく行動にあり、信仰心も外的な儀式ではなく、内なる信念に根ざすものだとアレンは説明します。
これらのゆがみを正すことで、私たちは人生をより明確に、力強く歩めるようになります。
そして、本書の核心的な結論は、「人間の最大の敵は自我(エゴ)である」という点です。
「敵」というと、それ自体が対立的ではありますが、超える必要のあるものと捉えると良いと思います。
自我は、競争や対立、優劣といった分離の意識を生み出し、私たちを低次の波動に閉じ込めます。
たとえば、誰かとの議論で「自分が正しい」と固執する瞬間、それは自我が主導権を握っているサインです。
本書は、この自我を一つ一つ手放し、善と調和の意識を選ぶことで、人生の真の「勝利」を手にできると教えてくれます。
対立の罠 メディアの影響を超える
私たちは日常で、テレビドラマや映画、ニュースを通じて「対立」の物語に触れます。
意図的であれ無意識であれ、こうした情報は私たちの感情を揺さぶり、低次の意識状態に引き込みます。
たとえば、ニュースで報じられる争いや競争の物語を見ると、知らず知らずのうちに「対立は当然」という意識に染まり、怒りや不安といった波動に巻き込まれることがあります。
この状態は、まるで心が「麻痺」したかのように、自我の影響下に置かれます。
一般に「洗脳」や「刷り込み」と呼ばれる現象も、こうした心の仕組みから生まれます。
しかし、こうした影響を理解し、意識的に向き合うことで、状況は変わります。
たとえば、対立的なニュースを見たとき、一歩引いて「これは私の心をどう動かそうとしているのか」と自問する習慣を持つことで、自我の反応を抑えられます。
本書は、コントロール、競争、優劣、支配・依存といった自我の領域に流されず、善の意識で自己を統治する方法を示します。
たとえば、誰かとの対立に直面したとき、相手を非難する代わりに、共感と調和を意識することで、心の平和を保ちつつ問題を解決できます。
この実践を通じて、私たちは外部の混乱を超え、人生における「勝利」を築けるのです。
高次意識への架け橋
『「原因」と「結果」の法則 ④ 輝かしい人生へ』の教えは、自我を超越し、高次の意識で生きる道を照らします。
この点で、意識研究者のデヴィッド・R・ホーキンズ博士の視点が参考になります。
ホーキンズ博士は、キリスト、クリシュナ、仏陀といった高次意識のレベルでは、どんな困難や醜悪な出来事も、愛と調和の光の中で美しく見えると述べています。
アレンも同様に、自我を手放し、善と調和を選ぶことで、至福の意識に近づけると説きます。
たとえば、日常の小さなストレスを「試練」ではなく「成長の機会」と捉え直すことで、心は軽やかになり、どんな状況も肯定的に受け止められるようになります。
この視点は、アレンの「至福の世界」とホーキンズ博士の「高い意識レベル」が共鳴する点であり、本書の教えを現代的に深める一助となります。
『「原因」と「結果」の法則 ④ 輝かしい人生へ』は、単なる理論ではなく、実践を通じて人生を変えるための指針です。
書籍情報
- タイトル:『「原因」と「結果」の法則 ④ 輝かしい人生へ』(原題:The Life Triumphant)
- 著者:ジェームズ・アレン
- 訳者:坂本貢一
- 出版社 : サンマーク出版
- 発売日 : 2004/7/2
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 159ページ
- ISBN-10 : 4 763195786
- ISBN-13 : 978-4763195784