
「私」に還る/「本当の自分」を取り戻して生きるために必要なこと
理想を描く
細かく考えすぎたらその場から動けないし、
だいたいで動いているだけでは目的地につくことはできない。
羽生善治(日本の将棋棋士、十九世名人)
現状を知る

私たちは生きる上で、あらゆる義務を抱えています。仕事では役割があり、家に帰れば家事や育児をこなし、様々な生活上の手続きをこなし、心が休まる暇もないように感じている人がたくさんいます。
疲れていても、一度も立ち止まることすら許されないように感じている人もいらっしゃるでしょう。
そのような毎日の中で、私たちはいつしか心をなくしてしまいます。
「忙しい」とは、心を亡(な)くすということ、とかつて私はいろんな人から聞きましたが、本当にそのような毎日を送っているのが現代の私たちだと思うのです。
そのような日々の中で、それでも常識的に振る舞い、周囲のことばかり考えて言動・行動をとられていらっしゃる人がいます。それはあなたかもしれません。もしそうだとしたら、あなたはとても優しい人なのだと思います。
そして、特にそのような人にこそお聞きしたいのです。
あなたはどう生きたいですか?
何をお望みでしょうか?
忙しい毎日を送られていることを自覚をされて、一度立ち止まることはできますか?
前述の問いについて静かに考えるため、少しの時間をつくることはできますか?
あなたは多くのことを頑張ってこなしているのが当たり前で、またそのような性質なのかもしれません。誰が何と言おうとも、または何も言ってくれなかったとしても、あなたは完全で素晴らしい存在です。
まずは、あなたにとって最も大切な人間関係である「自分自身との関係」を振り返っていただきたく思います。
あなたは自分を休ませていますか?
自分を喜ばせてあげていますか?
自分を大切にされていますか?
自分を愛していますか?
人に優しく、自分にはもっと優しく。
このような気持ちで日々を生きることができるように、少し考えてみてください。
もう一度、お聞きします。
あなたはどう生きたいですか?
何をお望みでしょうか?
自分が望まないことを知る

「自分にとってより良い人生」とは何を意味するのでしょうか?
この問いの答えをあなたが得ることによって、あなただけの「人生の目的」を持って生きることができるようになります。
あなたにとって何が最も大切なことなのか、を慎重に選択して行動することができるようになります。
ただ、「幸せになりたい」「裕福になりたい」「恋人・配偶者といい関係になりたい」などの、ざっくりとした希望では、うまくいくことはないようです。
それだけでは、多くの選択を繰り返しながら人生を歩むために必要な、心のエネルギーが不足するからです。
ですので、あなたが何を求めているのかを具体的にする必要があります。自分が本当に望んでいることが何かを、自分でわかってあげましょう。
「はじめに」でもお伝えしましたが、人生というキャンバスに、楽しみながら絵を描く気持ちで取り組むことが大切です。
その際には、あなたは適当な色や形で描くでしょうか? それはあり得ないと思います。「こんなに大切な自分の人生」なのですから。
理想的な人生を描くために、まずは「あなたの人生に望まないこと」について考えます。
なぜ、望まないことから考えるのかというと、多くの人は自分が望むことよりも、望まないことの方が自分でよくわかっているからです。
望まないことを明確にすることによって、望むことがしっかりとわかるようになります。
よろしければ少し時間をとって、あなたが自分の人生に望まないことをリストアップされてみてください。あまり考えすぎずに、たとえば抱えているストレス、不満、心配事などを思いつくままに書き出してみてください。
自分が望むことを知る

あなたは「自分の人生に望まないこと」をしっかりと把握することができました。
次にあなたが「自分の人生に望むこと」を考えてみます。
あなたが人生でやりたいことをできるだけ書き出してみます。
あなたがこれまでに経験した、幸せなこと、自慢できること、恵まれていること、満たされていることなどからはじめるのが良いでしょう。「自分の人生に望まないこと」のリストを参考にされても良いでしょう。
理想の一日を描く

あなたの人生に「望むこと」「望まないこと」をしっかりと理解することができたところで、「心から望む理想的な一日」を描いてみましょう。ここで、先に作っておいた「望むこと」「望まないこと」のリストがとても役に立つことになります。
「心から望む理想的な一日」を描くために、たとえば以下の質問が参考になると思います。
どんなところに住んでいますか?
どんな家に住んでいますか?
どんなお友達がいますか?
趣味は何ですか?どれくらいそれに時間をつくっていますか?
家族とはどれくらいの時間を共に、何をして過ごしていますか?
仕事は何をしていますか?
一日に何時間働いていますか?
お客さまはどのような人たちですか?
仕事の環境はいかがですか?
誰と仕事をしていますか?
仕事に対して情熱を感じていますか?
何時に起きますか?
何時に寝ますか?
日々をどのような気分で過ごされていますか?
リラックスしていますか?
このような質問に答えていくことによって、理想的な一日を描きやすくなります。だんだんとイメージが明確になっていきます。
まずは言葉で出していきましょう。
できる人は絵を描いても良いです。または回答に見合った写真や画像を、画用紙やコルクボードなどに貼っていくのもおすすめです。
次に、その描いたものをもとに、一日の流れを物語のように書いてみます。上手だとか下手だとかは気にされないでください。思いつくままに理想の世界をストーリーとして書いてみましょう。
ここまでの作業を行えば、あなたの理想の世界の「原型」ができあがります。この原型に毎日目を通すだけで、あなたは意図的に、目的のある人生を歩むことができるようになります。
これからの人生において、何かを選択する際には、自分で描いた理想の世界の「原型」を念頭に置いて考えるようになる、いえ「直感」が訪れるようになるからです。
たいていの人はほんとうになにがほしいのか、心の中でわかっています。
人生の目標を教えてくれるのは直感だけ。
ただ、それに耳を傾けない人が多すぎるのです。
バーバラ・ブラハム (米国の女性ビジネスコンサルタント)