『「原因」と「結果」の法則 ③ 困難を超えて』ジェームズ・アレン

 

ジェームズ・アレンの『「原因」と「結果」の法則 ③ 困難を超えて』(原題:Above Life’s Turmoil)は、人生の混乱や困難を乗り越え、内なる平和を築くための自己啓発の名著です。

この本は、まず『As a Man Thinketh』(『「原因」と「結果」の法則』)で説かれた「人間は思いの主人であり、人格の制作者であり、環境と運命の設計者である」という哲学を理解した後に読むと、さらに深い洞察を得られます。

 

ジェームズ・アレンと本書の背景

ジェームズ・アレン(1864-1912)は、イギリス生まれの哲学者・著述家で、約9年間で19冊の著書を残しました。

1910年出版の『Above Life’s Turmoil』は、思考と心のコントロールを通じて、外部の混乱や困難を超越する方法を説きます。

日本でも広く親しまれています。

 

本書の核心 困難を超越する力

『「原因」と「結果」の法則 ③ 困難を超えて』は、外側の状況(他人の行動や社会の混乱)を直接変えることはできないが、内側の思考や感情を変えることで、間接的に人生を変えられると教えます。

たとえば、職場でのストレスや人間関係の軋轢に直面しても、心を静め、調和を意識することで、穏やかな視点から現実を再構築できます。

本書は以下を強調します。

  • 内なる調和:自分の願いや感情を、外部の世界と調和させる。
  • 静かな心:騒音や責任の中でも、内的平和を保つ。
  • 永遠の平和:低次の自我(欲望や不安)を高次の意識で超越し、永続する幸福へ。

アレンはこう説きます。

外側の状況をじかに変えることは、誰にもできません。自分の好みを他人に押しつけることも、世界を自分の好みに合わせてつくり替えることも、私たちには行えません。でも、内側の状況、すなわち自分の願いや感情、思いなどは、いつでも自由に変えることができます。

私たちは、自分の好みを人々のそれと調和させることができます。自分の内側の世界を、外側の世界と調和したものに賢く変えることができます。そしてその結果、間接的に、しかし確実に、外側の世界を変えることができます。

私たちは、この世界の混乱を直接取り除くことはできません。でも、自分の内側の混乱は直接鎮めることができます。私たちの人生には困難がつきものです。しかし私たちは、そんな人生に関するあらゆる不安を超越できます。騒音に取り囲まれてはいますが、それでもなお、静かな心を手にできます。さまざまな責任を負わされてはいますが、それでもなお、内側で穏やかな休息を手にできます。不和のまっただ中でも、永遠の平和に浸ることができます。『ABOVE LIFE’S TURMOIL

 『「原因」と「結果」の法則 ③ 困難を超えて』ジェームズ・アレン 著 坂本貢一 訳

 

高次意識の智慧 言葉を超えた真理への道

ジェームズ・アレンの著書は、『「原因」と「結果」の法則 ③ 困難を超えて』(原題:Above Life’s Turmoil)をはじめ、どれも高次の意識に根ざして書かれています。

この高次の意識とは、表面的な欲望や不安を超え、普遍的な真理と調和する心の状態を指します。

本書は、こうした視点から人生の混乱や困難を超越する方法を、シンプルかつ深遠に教えてくれる一冊です。

特に印象的なのは、低次の自我と高次の自我についての明快な説明です。

低次の自我は、怒り、嫉妬、恐れといった一時的な感情やエゴに支配される心の状態です。

たとえば、誰かの批判に過剰に反応したり、失敗を必要以上に恐れたりするのは、低次の自我が働いている瞬間です。

一方、高次の自我は、穏やかで調和を重んじる意識であり、他者への共感や内なる平和を育みます。

本書は、この二つの自我の違いを具体的に示し、高次の意識へとシフトする方法を指南します。

たとえば、ストレスに直面したとき、深呼吸して心を静め、状況を客観的に見つめることで、低次の衝動を抑え、高次の視点から行動できるようになります。

この教えは、高次の意識で生きたいと願う人にとって、実践的で貴重な指針となるでしょう。

『「原因」と「結果」の法則 ③ 困難を超えて』を読む際、言葉そのものに過度にとらわれるよりも、著者の意図する方向性を直感的に感じ取ることが大切です。

なぜなら、高次の意識で書かれた本は、言葉を超えた真理を伝えるため、表面的な意味だけでは捉えきれない深さがあるからです。

たとえば、アレンが「静かな心」を説くとき、その言葉を頭で理解するだけでなく、実際に朝の静寂の中で内省し、心の動きを観察することで、その真意が体感できます。

読了後、日常生活で自分の感情や思考を敏感に捉え、それを本書の教えと照らし合わせる…そんな実践を通じて、本書は「心の指標」として機能します。

 

言葉の本質 人間が作った道具を超えて

ここで、言葉の役割とその本質について、少し深く考えてみましょう。

言葉は、私たちが世界を理解し、互いに繋がるための道具であり、とても大切なものですが、実は人間が作り上げたものに過ぎません。

たとえば、ハトは「ハト」という名前がなくとも空を飛び、スズメは「スズメ」と呼ばれずとも枝でさえずります。

野山の坂道も、言葉を使わない生き物にとってはただの「地」であり、名前がなくてもその存在は揺るぎません。

これらを名付けたのは、認識を共有し、わかり合いたいと願う人間の心です。

言葉が生まれる前の世界を想像してみてください。

そこには、名前やラベルがない純粋な存在だけが広がっています。

言葉は、「つながりを持ちたい」「経験を分かち合いたい」という人間の深い欲求から生まれた道具ですが、同時に、すべての真理を完全に表現することはできません。

たとえば、愛や平和、悟りといった高次の体験は、言葉で説明しようとすると、どうしてもその本質の一部しか伝えられないものです。

『「原因」と「結果」の法則 ③ 困難を超えて』のような高次意識の文章を深く理解するには、言葉を道しるべとして使いながらも、その背後にある直感的な真理に心を開く必要があります。

この視点を持つことで、日常生活での気づきが深まります。

たとえば、誰かとの対立で「怒り」を感じたとき、「怒り」という言葉に縛られず、それが一時的な低次の自我の反応だと見抜くことができます。

あるいは、「困難」という言葉に圧倒される代わりに、それが自分の思考の投影だと気づき、高次の意識で向き合えるようになります。

こうした理解を育むことで、言葉を超えた真理に近づき、アレンが本書で伝える高次の意識を、生き方として体現できるのです。

『「原因」と「結果」の法則 ③ 困難を超えて』は、言葉の限界を認めつつ、その奥にある真理を直感で捉えたいと願う人に、かけがえのない一冊です。

(追記:現代の、ある霊的教師によれば「高次の自己(ハイヤーセルフ)」「低次の自己(ロウワーセルフ)」と二元にしないほうが良いようです。すべてが「反応」です。)

 


書籍情報

  • タイトル:『「原因」と「結果」の法則 ③ 困難を超えて』(原題:Above Life’s Turmoil
  • 著者:ジェームズ・アレン
  • 訳者:坂本貢一
  • 出版社 ‏ : ‎ サンマーク出版 (2004/4/16)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2004/4/16
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 215ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4 763195778
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4763195777

 

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