
労働という服従構造|賃金労働はいかに設計され、なぜ疑われないのか
人生や仕事において、私たちは毎日のように判断をしています。
働き続けるか。
転職するか。
独立するか。
人を採用するか。
部下を評価するか。
将来のために、どのような選択をするか。
しかし、その判断は、本当に自分自身の前提から行われているのでしょうか。
私たちは、労働を「選んでいる」と感じています。けれど、その選択の多くは、「賃金労働に参加する」という前提の中で行われています。もし、その前提そのものが視界に入っていないとしたら、私たちはどこまでを「自分の意志」と呼んでいるのでしょうか。
本書は、賃金労働という仕組みを通して、その前提を静かに観察するための論考です。歴史、制度、教育、言語、ジェンダー、身体、消費といった複数の層をたどりながら、現在では当たり前に見える「働く」という仕組みが、どのように形づくられてきたのかを見ていきます。そして、その構造の中に生きる私たち自身が、働くことをどのように認識するようになったのか。その輪郭まで、一冊を通して静かに照らしていきます。
社会への批判ではありません。啓発でもありません。ただ、これまで前提として受け入れてきたものを、一度、観察の対象として見るための文書です。
構成
第一部 賃金労働はどう生まれたか
第二部 学校という装置
第三部 雇用制度という設計
第四部 なぜ人は疑わないか
第五部 賃金労働とジェンダー
第六部 賃金労働と身体
第七部 賃金労働と消費
第八部 構造の外から見ると
見えていないものは選べません。
見えてはじめて、本当の意味で選択が始まります。
この文書が目指すこと
決められた時間に働き、組織の中で役割を担う。現代を生きる私たちにとって、それはあまりにも日常的な光景です。けれど、現在では当然に見えるこの働き方も、最初から存在していたわけではありません。
長い歴史の中で、制度がつくられ、教育が整えられ、時間の感覚や役割の分担が変わり、働くことをめぐる価値観も形づくられてきました。そして、その構造の中で生きている私たち自身もまた、「働くとはこういうものだ」という感覚を身につけています。
構造の内側にいるとき、それは構造としては見えません。
自分が仕事に適応できないこと。
組織の中で感じる違和感。
働き続けることへの迷い。
人を評価するときに無意識に使っている基準。
それらを、私たちは個人の能力や性格、努力の問題として捉えることがあります。しかし、その背後にある歴史や制度、社会の前提まで視野に入れたとき、それまで個人の問題に見えていたものが、別の輪郭を持って見えてくることがあります。
それは、自分自身について考えるときだけではありません。人を採用すること、評価すること、組織の中で役割を与えること、誰かの働き方を見て「努力している」「責任感がある」「適応できていない」と判断すること。そのときに用いている尺度そのものもまた、私たちが生きてきた社会や時代と無関係ではありません。
本書が目指しているのは、働き方の正解を提示することではありません。賃金労働という仕組みを、その内側からではなく、一つの構造として観察できるところまで視野を広げることです。
変わるのは、働くことそのものではなく、働くことを見ている場所です。
この文書の性質について
本書は、手軽な解決策やノウハウを提示するビジネス書とは異なります。また、労働史そのものを体系的に学ぶための専門書や、社会学の知識を広く身につけるための教科書でもありません。そうしたことを目的とする場合には、それぞれの分野の専門書や大学向けテキストを読むほうが適しています。
賃金労働の成立、学校教育や雇用制度との関係、ジェンダー、身体、消費など、一見すると別々に見える領域をたどりながら、現在の働き方を支えている構造を観察していきます。個々の情報を知るだけではなく、こうした複数の層を一つの流れとして通過することで、それまで別々に見えていたものの関係や、その構造を通して世界を見ていた自分自身の認識までを、観察の対象に置いていきます。
そのため、以下のような内容をお求めの方には適しておりません。
- 手軽な転職やキャリアアップのテクニック
- 組織マネジメントの即効性のあるノウハウ
- 現状の悩みに対する具体的な解決策
- 「どう働けばよいか」という明確な答え
- 労働史や社会学そのものを体系的に学ぶこと
本書が提供するのは、答えではなく、それまで前提の内側から見ていたものを、前提そのものとして観察するための視座です。
この文書をお届けしたい方
すぐに使える答えや方法ではなく、自分が何を前提として世界を見ているのか。そのこと自体を問い直すことに価値を感じる方へお届けしたいと考えています。
- 経営や組織づくりにおいて、人を評価するときの自分自身の前提まで見つめてみたい方
- 人の能力や努力、責任について、自分がどのような尺度から判断しているのかを考えてみたい方
- 人生や仕事における判断の前提を、一度深く検討してみたい方
- 自分自身の価値観や選択だと思っているものの中に、社会の中で身につけてきた前提がないかを見つめてみたい方
- 働くことへの違和感を、個人の努力や能力だけの問題として捉えたくない方
- 労働を、歴史や制度、教育を含む構造の中から理解したい方
- 当たり前とされている前提そのものを、観察の対象に置いてみたい方
- 即効性のある答えよりも、自分自身が受け入れてきた前提を見つめることに価値を感じる方
一つの問いを深く辿り、社会の構造だけでなく、自分自身もまたその構造の中から世界を見ていること、そして、自分自身のものだと思っていた価値観や判断の中にも、社会の中で形づくられてきた前提が含まれているかもしれないことまで、静かに見つめてみたい方に、本書をお届けします。
文書情報
- 形式:PDFファイル
- ボリューム:約12万字
- 構成:全八部構成
お申し込み・ご購入手順
価格:¥22,000(税込)
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