『にんげんっていいな』|異界から眺める、体温という名の奇跡
夕焼けが山の向こうへ沈み、昼と夜の境目がゆっくりと溶け合っていきます。 その頃、物語を語り終えた生き物たちは、人間の暮らす里の灯...
幼少期から幾度もの環境変化を経験するなかで、「人はなぜ苦しみ、なぜ同じ課題と何度も向き合うことになるのか。そして、その経験を通して、人はどのように変化していくのか」という問いを抱えながら歩んできました。物事の仕組みや、その背後にある構造への関心は幼い頃から自然と続いていました。環境や人間関係が変わるたびに、自分自身の感じ方や在り方までも変化していくことへの不思議さは、後に人間理解へと向かう探究の原点になっていたように思います。
そうした関心を抱えたまま、大学では化学システム工学を専攻し、博士課程への進学を志していました。しかし在学中、命に関わるほど深い絶望を経験しました。それは、医学的な名前だけでは整理しきれない、長い暗闇の時間でもありました。医療の助けを借りながら、誰にも理解されない断絶の感覚を抱える一方で、言葉を交わさずとも静かに支え続けてくれた人たちや、あえて距離を取りながら見守ってくれた存在に、何度も救われました。
この経験は、何か新しい問いを生んだというよりも、それまで漠然と抱いていた関心を、「人間とは何か」「意識とは何か」という探究へと本格的に向かわせる大きな転換点となりました。以後、学術的な視点と内面的な体験、その両方を行き来しながら、人間理解についての思索を深め続けています。
同時期、15歳より両親の小売事業に関わり、大学卒業後は、社会との接点を取り戻すために、現場へ立たせていただきました。23歳より店舗経営に携わり、多くのお客様やスタッフと向き合う日々のなかで、人の感情、欲求、疲弊、組織、人間関係、社会構造の縮図のようなものを、現場の最前線で見つめ続ける時間を過ごしました。数字や成果だけでは測れない、人間の内側で起きているもの。表面的な言葉の奥で、人が何を求め、何に傷つき、何を守りながら生きているのか。そうしたものへ、少しずつ意識が向かうようになっていきました。
その後、日本各地で行われている経営・人材育成の講演や学びの場へ足を運びながら、自らも「Office Human Nature」という名で、人材育成や内面的成長に関する活動を模索していきました。しかし、その過程で、自分自身の内側にある深い違和感や、本来の感覚とのずれを、どうしても無視できなくなっていきました。社会的な役割や、外側から見える「正しさ」を積み重ねていくほどに、自分の内側との距離が広がっていく感覚。その静かな苦しみと向き合うなかで、「こうあるべき」という形へ自分を合わせ続ける生き方から、少しずつ離れていくようになりました。
それは、自分自身の奥深くにある感覚や存在の在り方へ、正直に生き直していくための転換だったのだと思います。それからも、日常生活と並行しながら、人間理解や霊性への探究を続けています。
振り返ると、子どもの頃から抱き続けてきた関心は、形を変えながら一つの方向へとつながっていました。成功も、喜びも、苦しみも、過ちも、そのどれか一つだけが特別だったのではなく、そのすべてが、人間という存在を理解していくために与えられていた時間だったように感じています。そして、これまで出会ってくださった方々、支えてくださった方々、傷つけてしまった方々、そのすべての存在に、深い感謝を抱いています。
現在は、Office Human Nature を通じて、人間という存在を学際的に探求し、その中で見えてきたことを記事や文書として記述しています。
人間理解への、終わりのない探究。
その歩みを、これからも静かに続けていきます。
夕焼けが山の向こうへ沈み、昼と夜の境目がゆっくりと溶け合っていきます。 その頃、物語を語り終えた生き物たちは、人間の暮らす里の灯...
月の世界は、清らかで、欠けることのない場所として描かれます。 そこには苦しみも、涙も、そして「死」という終わりさえありません。 ...
階段という場所が、私は好きです。 そこは、一階でもなければ、二階でもありません。 過去を離れ、未来にもまだ届いていない。その、ど...
ノートルダム大聖堂の鐘楼。 下界の喧騒から切り離されたその場所で、カジモドは今日も鐘を鳴らし続けます。 彼にとって、その響きは世...
私たちは、生まれた瞬間に「名前」を授かります。 それは、この広大な世界のなかで、自分という存在を一時的に具体へと凝縮するための、...
2015年、娘が生まれたとき、私は彼女に「優利(ゆうり)」という名前を贈りました。 この名前には、明確な願いを込めていました。 ...
世界は、目に見えない無数の「普通」で満たされています。 朝起きて、働いて、誰かと愛し合い、家族をつくる。 その流れを、いつの間に...
「正解があります」 そう言われると、少し安心します。 反対に、「正解はありません」と言われると、どこか落ち着かなくなります。 私...
『ただ、君を愛してる』を思い返すとき、最初に浮かぶのは、木漏れ日のなかで交わされる二人の静かな時間です。 森を吹き抜ける風。 水...
待っている時間は、長く感じます。 返事を待つ時間。 季節が変わるのを待つ時間。 自分の中で何かが変わるのを待つ時間。 何も起きて...