人間関係の変化に関する知恵
私たちは物質世界に生きていますので、人間関係においては目に見える「視覚からの情報」を大切にします。
ですが本質を言えば、たとえば今あなたが関わる身近な人を知るとして、その人の人格が創り上げられるためにどれだけの膨大な体験、思考、感情、時間が費やされているのか?
そういうことに着目する必要があります。
その人は、どのような経験を通して現在に辿り着いたのでしょうか?
そういうことを知ろうとすることはありますか?
何が好きなのか?
何が嫌いなのか?
どうしてそれが好き(または嫌い)なのか?
一つ一つ紐解いていくと、何らか好き嫌いのきっかけというものがあるはずです。
そのようなことを知ると、その人をその人たらしめる構成要素を理解することができます。
化学でたとえるなら、
2H2 + O2 ⇨ 2H2O
という化学反応式において、右側にある生成物 2H2O がその人で、左側の反応物 2H2 + O2 がその人の元となるもの、すなわち構成要素となります。
反応物はその人の元とお伝えしましたが、現実におけるそれは、その人の記憶のことを意味します。
と、申しましても実は記憶には「真実」が残るわけではありません。
最も素晴らしく、かつ厄介なのが感情です。
しかも感情は、何故か同じパターンを現在(いま)においても繰り返すことがあります。
実はその根底にあるのは、感情ではなく「観念」だからです。
観念とは、シンプルに「思い込み」のことです。
人に長所と短所があるように、 事実、事象にも一長一短があります(というよりも解釈します)。
もし、人間に感情というものがなければ、そこにあるのは事実、事象だけになります。
○○が起こった
○○をした
だけになってしまいます。
しかしながら実際には、人は体験したことに対して、その人なりの解釈(意味づけ)をすることによって、
自分は〇〇な人間だ
とか
いつも○○が起こる、こういう結果になる
というような思い込みを作ります。
その結果、その人の構成要素の一つとして一般的にいわれるポジティブ思考であったり、ネガティブ思考というものが出来上がります。
つまりは、その反応物(記憶、思い込み)が変われば、生成物(その人)も変わるという当たり前の結果になります。
人を創り上げる構成要素が変われば、その人(生成物)と他の人(生成物)とでは、溶け合わなくなったり、またはよく溶け合うようになります。
それは、結果的に人間関係や環境の変化を起こすことになります。
これが人と人との間に働く、人間関係や環境の変化のプロセスの本質です。
人を知ることは、自分を知ることでもあり
自分が変われば、世界が変わる
世界とは、自分が認識する人間関係を含めた物質的な環境を指します。
諸行無常。
変化が当たり前の世界で、何かに執着して苦しむ必要はありません。
特に、人への執着ほど、自分や大切な人を苦しめるものはありません。
変化しないことを選択し、周りが変化していくことを黙ってみて、同じ生活をぐるぐる回ることもできます。
ですが、多くの人は変わろうとするものです。
それぞれの人のペースで。
こういったことを知っていれば、人をあたたかく見守ること、そっと離れることを楽に選択することができるようになります。