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デヴィッド・R・ホーキンズ博士の「意識研究」は、どこまで確認できるのか|残された資料をたどって

デヴィッド・R・ホーキンズ博士は、意識、真偽、筋反応、そして人間の意識レベルについて、長年にわたる研究を行った人物として知られています。著書『Power vs. Force』をはじめ、その後の多くの著作では、人間の身体が真偽に対して異なる反応を示すこと、そしてその反応を用いて意識の状態や情報を検証できるという考えが示されています。

こうした主張について調べていくと、現在ではさまざまな評価に出会います。肯定的に紹介するものもあれば、科学的な根拠に疑問を呈するものもあります。また、応用キネシオロジーそのものへの批判から、ホーキンズ博士の研究を評価しているものもあります。

しかし、それらを読んでいるうちに、一つの疑問が生まれました。

そもそも、ホーキンズ博士自身は何を研究し、その記録は現在どこまで確認できるのでしょうか。

現在の評価だけから研究そのものを判断するのではなく、一度、本人が残した資料まで戻って確認してみたい。そこで、ホーキンズ博士の著作、博士論文とされる文書の書誌記録、本人による説明、関連する資料をたどりました。

先に結論を書いておくと、この調査によって確認できたことはあります。しかし、まだ確認できていないことも残っています。

1995年の博士論文とされる文書については、後に出版された同タイトルの書誌記録を確認できます。ホーキンズ博士本人も、自身の博士号や博士論文、研究について後年の著作や回答の中で繰り返し言及しています。また、博士論文の要旨と概要からの引用であるとする資料も残されています。

その一方で、今回の調査では博士論文そのものの全文には到達できず、ホーキンズ博士が言及している「UMI Dissertation Abstracts」の原記録も独立して確認することができませんでした。さらに調べていくと、博士号を授与したColumbia Pacific Universityについても、学位の位置づけを考えるうえで無視できない事情があることがわかりました。

そのため本稿では、「ホーキンズ博士の研究は正しかった」「科学的に証明されていた」といった結論を出すことはしません。反対に、「科学的に否定されている」と結論づけることもしません。

ここでは、現在残されている資料を一つずつたどりながら、何が確認でき、どこから先がまだわからないのかを整理します。

 

意識研究をたどると、1995年の博士論文に行き着く

ホーキンズ博士の意識研究について調べていくと、繰り返し登場する文献があります。

Qualitative and Quantitative Analysis and Calibration of the Level of Human Consciousness

日本語にすれば、おおよそ「人間の意識レベルの定性的・定量的分析と校正」といった意味になります。

ここでいう「定性的」とは、数値だけでは表しにくい性質や特徴を見ることです。「定量的」とは、測定した結果を数値として扱うことです。そして「校正」は、ホーキンズ博士が後に広く示すことになる、意識の状態を一定の尺度上に位置づけるという考えにつながっています。

ホーキンズ博士は、この研究を1995年の博士論文として位置づけています。後年の著作でも、意識の性質や意識レベルについての基礎となる研究が博士論文としてまとめられ、その後『Power vs. Force』へ展開していったという説明がされています。

つまり、現在広く知られている『Power vs. Force』だけではなく、その前段階として本人が位置づけている博士論文までたどることが、ホーキンズ博士の研究を知るうえでは重要になります。

 

博士論文と同じタイトルを持つ出版物の記録が残っている

この文書については、現在も複数の書誌記録を確認することができます。

オンライン上で書籍や出版物の情報をまとめているOpen Libraryには、1998年に、ホーキンズ博士の著作や研究資料を扱うVeritas Publishingから出版された200ページのスパイラル製本版として登録されています。Google Booksにも、同じタイトルの書誌情報が残っています。

また、ホーキンズ博士自身の著書『Healing and Recovery』でも、この研究について「Bell and Howell, 1995; Veritas Publishing, 1995」と記されています。

ただし、ここでは「書誌記録があること」と「大学へ提出された博士論文原本を確認できたこと」を分ける必要があります。

Open Libraryに残されているのは、後に出版物として流通した文書についての書誌情報です。今回の調査では、Columbia Pacific Universityへ提出された博士論文原本そのものを確認したわけではありません。

したがって、現在確認できるのは、ホーキンズ博士が博士論文として言及している文書と同じタイトルを持つ出版物の記録が残されているというところまでです。

 

ホーキンズ博士自身は「UMI Dissertation Abstracts」への収録にも言及している

さらに、ホーキンズ博士は生前、自身の学位について質問を受けた際、この研究データについて、1996年に「UMI Dissertation Abstracts」を通して公表されたと述べています。

この名称だけでは、何を意味しているのかわかりにくいと思います。

UMIは「University Microfilms International」の略で、大学で提出された博士論文などを保存し、研究者が検索したり入手したりできるようにしていた組織です。「Dissertation」は博士論文などの学位論文、「Abstracts」はその内容を短くまとめた要旨や抄録を意味します。

つまり「UMI Dissertation Abstracts」とは、簡単にいえば、大学の博士論文について、その書誌情報や要旨などを収録し、研究者が探せるようにしていた仕組みです。

当時、この事業はBell & Howellというアメリカ企業のもとで運営されていました。その後、博士論文や学術情報を扱う事業は再編され、現在の学術情報サービスProQuestへとつながっています。

ホーキンズ博士の説明どおりであれば、この研究は本人やVeritas Publishingだけの内部資料ではなく、博士論文を保存・提供する仕組みにも記録されていたことになります。

ただし、今回の調査では、現在のProQuestなどから当時のUMI側の原記録そのものを確認するところまでは到達できませんでした。

そのため、現時点で確認できているのは、ホーキンズ博士本人がUMI Dissertation Abstractsへの収録について具体的に述べていたことです。その説明と、UMI側に実際に残されていた記録との照合はできていません。

 

学位を授与したColumbia Pacific Universityについても確認する必要がある

今回の調査を進める中で、最初の記事では十分に確認できていなかった重要な点も出てきました。

ホーキンズ博士が1995年にPhD、つまり博士号を取得したと述べているのは、アメリカ・カリフォルニア州に存在したColumbia Pacific Universityです。

この大学は、主に通学ではなく通信によって学ぶ形の教育を行っていた大学でした。そして、現在一般的に大学の学術的な信頼性を確認するときに重視される、認定機関による大学全体の認定を受けた大学ではありませんでした。

さらに、カリフォルニア州は1995年、Columbia Pacific Universityの運営継続を認めない判断を行いました。その後も大学側と州当局との間で争いが続き、1999年には裁判所が大学の閉鎖を命じています。

当時、州側は、教育課程、教員の資格、学生がそれまでの経験によって取得できる単位、博士号を含む学位の要件などについて問題を指摘していました。一方、大学側は州の判断に異議を唱えていました。

ここは慎重に考える必要があります。

Columbia Pacific Universityにこうした問題があったことから、ホーキンズ博士個人の研究内容まで間違っていたと結論づけることはできません。

反対に、「博士論文である」「博士号を取得している」という事実だけをもって、その研究が通常の大学院における博士論文と同じ水準の審査を受け、科学的な妥当性まで保証されていると考えることもできません。

大学の問題と研究内容は分けて考える。そのうえで、研究そのものを見る必要があります。

 

博士論文では何が調べられていたとされるのか

では、その博士論文では実際に何が調べられていたのでしょうか。

ここからは、より慎重に資料の種類を区別する必要があります。

博士論文全文は、今回確認できていません。しかし現在、博士論文の「Abstract」と「Summary」からの引用であると明記して、研究内容を掲載している資料が残されています。

「Abstract」は、論文で何を調べ、どのような結果が得られたのかを短くまとめた「要旨」です。「Summary」は、その研究内容をまとめた「概要」を意味します。

その資料では、キネシオロジーによる筋反応を用いて、真と偽、建設的な刺激と破壊的な刺激を区別できる可能性が検討されたとされています。

ここでいうキネシオロジーによる筋反応とは、腕などの筋肉に一定の力を加えたとき、提示された言葉や刺激によって筋肉の反応が変化するかを見る方法です。ホーキンズ博士は、この筋反応を単なる筋力測定ではなく、情報の真偽や意識の状態を確認するために用いていました。

さらに、博士論文の要旨・概要からの引用であるとする資料には、4,864人の被験者を対象に調べたという記述があります。また、「p < .05」という統計上の結果も記されています。

「p < .05」という表記も、統計に馴染みがなければ意味がわかりにくいと思います。

研究では、ある違いが観察されたとしても、それが本当に調べている現象によって生じたのか、偶然でも起こり得る程度の違いなのかを考える必要があります。p値は、その判断に使われる指標の一つです。「p < .05」は、実際には差がないという前提に立った場合、今回と同じ程度以上の結果が偶然に現れる確率が5%未満であることを意味します。

ただし、「p < .05」であれば、その研究内容が正しいことが証明された、という意味ではありません。どのような実験を行ったのか、何を比較したのか、測定方法は適切だったのかといった研究全体を見なければ、その数字の意味を判断することはできません。

そして今回、特に重要なのは、4,864人や「p < .05」という数字を博士論文そのものから確認したわけではないということです。

確認できたのは、「博士論文の要旨と概要からの引用である」と説明している別の資料に、そのように記載されているところまでです。

4,864人はどのように集められたのか。一人あたり何回の測定が行われたのか。どのような条件でテストされたのか。研究者や被験者は何を知っていたのか。何を比較して「p < .05」という結果が得られたのか。

これらについては、博士論文そのものを確認しなければわかりません。

 

本人は統計解析、帰無仮説、表やグラフについて語っている

一方で、ホーキンズ博士自身も、2003年に刊行された著書『I: Reality and Subjectivity(邦題:わたし 真実と主観性)』の中で、博士論文について具体的に言及しています。

そこでは、自身の研究結果を最初に博士論文として学術界へ提示したと述べています。また、その博士論文について、p値による統計的な検定、帰無仮説、統計解析のほか、グラフ、表、研究記録、詳細な参考文献などを含む形でデータを提示したと説明しています。

ここでいう「帰無仮説」とは、先ほどのp値を考えるための出発点となる仮定です。

たとえば、真実の文章を述べたときと虚偽の文章を述べたときで筋反応に違いが見つかったとします。そのとき最初から「真偽によって筋反応が変わる」と考えるのではなく、まず「両者には本当は違いがない」と仮定します。その仮定のもとで、観察されたほどの違いがどの程度起こり得るのかを統計的に調べます。

この最初の「本当は違いがない」という仮定が、帰無仮説です。

また、本人による講演を文字に起こしたとされる資料には、統計解析を外部の専門家へ依頼したという説明も残されています。ただし、この講演については今回、公式の音源そのものとの直接照合まではできていないため、補助的な情報として扱う必要があります。

さらに、現在確認できる関連資料には、「p < .05」「p < .01」「p < .001」と異なる数値への言及があります。

これは、それだけで矛盾しているとはいえません。それぞれ異なる実験や分析について述べている可能性があるからです。

どの数字がどの実験結果に対応しているのか。それを確定するためにも、原資料との照合が必要になります。

 

『Power vs. Force』にも研究方法と結果についての説明がある

博士論文全文にアクセスできないからといって、ホーキンズ博士の研究方法についてほとんど何もわからないわけではありません。

代表作『Power vs. Force』そのものにも、研究の経緯、方法、テスト結果、意識レベルの校正について、かなり具体的な説明が残されています。

たとえば同書には、「History and Methodology」という章があります。日本語にすれば「研究の歴史と方法論」です。続く「Test Results and Interpretation」は「テスト結果とその解釈」、「New Horizons in Research」は「研究における新たな展望」といった意味になります。

つまり、『Power vs. Force』は意識レベルの一覧だけを提示した本ではなく、ホーキンズ博士自身が、どのような経緯で研究を行い、どのような方法を用い、結果をどのように解釈したのかを説明する部分も含んでいます。

同書では、長期間にわたって数千人の被験者を対象に研究を行い、非常に多数のキャリブレーション、つまり意識レベルなどを測定するための校正を行ったという趣旨の説明もされています。

ここでも、「多数の校正」と「多数の被験者」は同じ意味ではありません。一人の被験者に対して何度も測定を行えば、被験者数より測定回数の方がはるかに多くなります。

したがって、博士論文の要旨・概要からの引用であるとする資料に記された「4,864人」という数字と、『Power vs. Force』で説明される非常に多数の校正は、同じ種類の数字として比較することはできません。

一方で、博士論文の具体的な実験設計や統計表を確認したことにはなりません。

博士論文そのものから確認できていないことと、本人の著書から確認できることは分ける必要があります。

 

この研究が意味する範囲は、個人の意識だけではない

ホーキンズ博士が自身の研究から導き出した考えは、個人の感情や精神状態だけに向けられたものではありません。

『Power vs. Force』では、人間の意識レベルだけでなく、社会における意識レベルの分布や、政治、経済、仕事、スポーツ、芸術、健康など、さまざまな領域へ議論が広げられています。

ホーキンズ博士は、自身が示した意識の尺度や「パワー」と「フォース」の違いを、個人の内面だけではなく、政治体制、社会運動、組織、経済活動などを考えるためにも用いていました。

この点は、ホーキンズ博士の研究がどこまで確認できるのかを考えるうえでも重要です。

ホーキンズ博士自身は、筋肉反射テストによって得られるとする情報を、個人の自己理解だけでなく、政治、社会、組織、経済など、非常に広い領域を考えるために用いていました。

だからこそ、筋肉反射テストによって何を確認できるのか、その測定方法そのものがどこまで成立するのかを分けて見る必要があります。

ホーキンズ博士が政治や社会について何を校正したのかということと、その校正結果が第三者によって確認されているのかということは、別の問題です。

今回確認した1999年と2016年の独立研究も、政治的判断や社会制度の真偽、あるいは政治家や国家の意識レベルを検証した研究ではありません。

したがって現時点では、ホーキンズ博士が自身の方法を政治・経済・社会へ広く適用していたことと、それらの校正結果が独立した研究によって確認されているかどうかは、分けて考える必要があります。

 

後年には、筋反応と「真偽」の関係を調べた独立研究も行われている

今回の調査では、ホーキンズ博士とは別の研究者が、言葉の意味や真偽と筋肉の反応との関係を調べた研究も確認できました。

1999年に発表された研究では、89人の健康な大学生を対象に、自分自身について「事実と一致する文章」と「事実とは一致しない文章」を繰り返してもらい、そのときの筋肉の反応をコンピューターにつないだ測定器で調べています。

その結果、本人について事実と一致する文章を述べた場合には、事実と一致しない文章を述べた場合よりも、より大きな力を、より長い時間維持できたことが報告されています。

また2016年には、「Muscle Response Testing」、日本語にすれば「筋肉反応テスト」を用いて、人が口にした文章が真実か虚偽かを識別できるかを調べた研究が発表されています。

この研究では、実験する順番を無作為に決めたり、判定する人があらかじめ正解を知らない状態にしたりする方法が採用されました。こうした方法は、研究者の期待や実験順序などが結果へ影響する可能性を減らすために使われます。研究では、偶然に答えた場合よりも高い識別精度が報告されました。

ただし、これらの研究を、そのままホーキンズ博士の研究が再現された証拠と考えることはできません。

ここには、少なくとも三つの異なる問いがあります。

一つ目は、人が自分で真偽を知っている文章を述べたとき、その意味内容によって筋反応に違いが生じるのか。

二つ目は、本人が意識的には答えを知らない情報についても、筋反応を通して真偽を取得できるのか。

三つ目は、そこからさらに、人間の意識を1から1000までの意識レベルとして校正できるのか。

これらは同じ主張ではありません。

1999年や2016年の研究は、少なくとも言葉の真偽と筋反応との関係を調べた研究として重要ですが、それだけで未知の情報へのアクセスや、ホーキンズ博士の「意識のマップ」まで確認されたことにはなりません。

 

現在の評価だけでは、ホーキンズ博士自身の研究はわからない

今回調べていて、改めて重要だと感じたことがあります。

現在インターネット上でホーキンズ博士について調べれば、肯定的な紹介も、批判的な評価も見つかります。また、応用キネシオロジーという広い領域について、その信頼性を調べた研究も存在します。

しかし、応用キネシオロジー全体について行われた研究と、ホーキンズ博士自身が行ったとする研究は、本来分けて考える必要があります。

ホーキンズ博士が扱っているのは、単純に「筋力が強いか弱いか」という問題だけではありません。言葉や情報の真偽と筋反応との関係、本人が意識的には知らない情報へのアクセス、さらに意識レベルの校正へと主張が広がっています。

その研究を評価するのであれば、まず本人が何を測定し、どのような条件でテストを行い、何を結果として報告していたのかを確認する必要があります。

一方で、本人が研究として報告しているというだけで、それを確認済みの科学的事実として扱うこともできません。

本人による報告。博士論文とされる文書の記録。学位を授与した大学の状況。後に行われた独立研究。

それぞれは異なる種類の情報です。

一つにまとめて「証明された」「否定された」と判断するより、それぞれを分けて見る必要があります。

 

なぜ、博士論文そのものを確認しにくいのか

ここから先は、確認された事実ではなく、まだ答えの出ていない問いになります。

なぜ、博士論文とされる原資料を、現在簡単に確認することができないのでしょうか。

考えられる理由はいくつもあります。30年以上前の小規模な出版物であること。学位を授与したColumbia Pacific Universityがその後閉鎖されたこと。学位論文を保存・提供する仕組みが時代とともに変化したこと。出版や著作権上の事情があること。こうした通常の事情だけでも、古い文書へのアクセスが難しくなることは考えられます。

一方で、ホーキンズ博士が自身の研究について述べていた内容まで考えると、別の問いも生まれます。

ホーキンズ博士は、筋肉反射テストによって、本人が意識的には知らない情報についても真偽を確認できると考えていました。そして、その方法を個人の内面だけでなく、政治、社会、組織、経済など、広い領域へ適用していました。

もし、その方法が本人の主張したとおりに機能するのであれば、それは単なる自己理解のための技法ではありません。人が通常の方法では知り得ない情報の真偽を確認できることになり、その影響は非常に大きなものになります。

そう考えると、この研究が広く知られることや、さまざまな分野へ応用されることを望まない主体が存在した可能性まで考える必要があるのでしょうか。

現時点では、その可能性を裏づける資料は確認できていません。

博士論文へのアクセスが難しいという事実だけから、「誰かが意図的に公開を止めた」「研究の拡大を阻止した」と結論づけることはできません。通常の資料保存や流通上の事情でも説明できる可能性があります。

しかし同時に、意図的な制限がなかったことまで確認できているわけでもありません。

現時点でいえるのは、同じタイトルを持つ出版物の書誌記録が残っていること、本人が博士論文やUMI Dissertation Abstractsについて具体的に言及していること、そして今回の調査では、大学へ提出された博士論文原本やUMI側の原記録まで確認できなかったということです。

なぜ現在そこへ到達しにくいのか。その理由については、推測と確認できた事実を分けたまま、問いとして残しておく必要があります。

 

評価より先に、本人が何をしたのかを知りたい

今回の調査を始めた理由は、ホーキンズ博士を証明したかったからではありません。反対に、否定したかったからでもありません。

私自身、ホーキンズ博士の著作から多くを学んできました。

だからこそ、敬意があることと、事実を確認することは分けておきたいと思います。

尊敬しているから正しいと考えるのではなく、現在の一般的な評価が否定的だから間違っていると考えるのでもない。

本人は、実際には何を調べ、何を残したのか。

まず、そこを知りたいのです。

今回、資料をたどったことで、最初に考えていたよりも本人による研究の説明が残されていることがわかりました。『Power vs. Force』にも、方法や結果について確認すべき内容があります。

同時に、書誌記録が存在することと博士論文原本を確認すること、本人が研究結果を報告していることと第三者がその結果を確認すること、博士号を持っていることと研究内容そのものが妥当であることは、それぞれ別の問題であることもわかりました。

 

現時点で確認できたこと、まだわからないこと

現時点では、ホーキンズ博士が1995年の博士論文として言及している文書と同じタイトルを持つ出版物の書誌記録を確認できます。本人は、博士号の取得とUMI Dissertation Abstractsへの研究データの収録について具体的に述べています。また、『Power vs. Force』をはじめとする著作には、研究方法や結果について本人による説明が残されています。

博士論文の要旨・概要からの引用であるとする資料には、4,864人という被験者数と「p < .05」という記述があります。ただし、これらは今回、博士論文そのものから直接確認した数字ではありません。

また、学位を授与したColumbia Pacific Universityについては、一般的な認定大学と同じ前提で扱うことができない事情があり、1990年代後半には州当局との争いを経て裁判所から閉鎖を命じられています。

そして、ホーキンズ博士とは独立して、言葉の真偽と筋反応との関係を調べた研究も存在します。しかし、それらはホーキンズ博士が主張した未知の情報へのアクセスや、1から1000までの意識レベルの校正までを直接確認した研究ではありません。

一方で、まだわからないことがあります。

1995年の博士論文そのものには、具体的に何が書かれていたのか。4,864人はどのような研究の中で集められた数字なのか。実験はどのような条件で行われ、どのような統計分析が使われたのか。UMI Dissertation Abstractsには、実際にどのような記録が存在していたのか。

そして、博士論文で報告された研究と、その後ホーキンズ博士が展開した、未知の情報へのアクセスや「意識のマップ」は、データの上でどのようにつながっていたのか。

これらについては、今回の調査だけでは判断できません。

だから、ここで無理に結論をつくる必要はないと思います。

ホーキンズ博士の研究を肯定するためでも、否定するためでもなく、現在残されている資料から確認できるところまでを確認する。

そして、確認できないところは、確認できないまま残す。

わからないものを、わかったことにはしない。

現時点では、その境界までを、この調査の記録として残しておきます。

 

参考資料


David R. Hawkins, Qualitative and Quantitative Analysis and Calibration of the Level of Human Consciousness, Veritas Publishing, 1998 https://openlibrary.org/books/OL11707875M/Qualitative_and_Quantitative_analysis_and_calibration_of_the_level_of_human_consciousness
David R. Hawkins, Qualitative and Quantitative Analysis and Calibration of the Level of Human Consciousness, Veritas Publishing https://books.google.com/books/about/Qualitative_and_quantitative_analysis_an.html?id=x-EAzwEACAAJ
David R. Hawkins, Map of Consciousness®, Veritas Publishing / The Institute for Spiritual Research https://veritaspub.com/map-of-consciousness/
David R. HawkinsによるColumbia Pacific UniversityおよびUMI Dissertation Abstractsについての回答, Skeptic’s Dictionary Newsletter https://skepdic.com/news/newsletter58.html
Lifestar, “Lifestar Philosophy” — ホーキンズ博士の博士論文のAbstractおよびSummaryからの引用とされる資料 https://www.lifestar.net/file_html/philosophy.html
SFGATE, “Marin Judge Orders University in Novato To Cease Operations / State has wanted it closed for years” https://www.sfgate.com/education/article/Marin-Judge-Orders-University-in-Novato-To-Cease-2888658.php
David R. Hawkins, I: Reality and Subjectivity, Veritas Publishing https://books.google.com/books?q=%22I%3A+Reality+and+Subjectivity%22+%22David+R.+Hawkins%22
Monti, D. A. et al. (1999), “Muscle Test Comparisons of Congruent and Incongruent Self-Referential Statements,” Perceptual and Motor Skills, 88(3), 1019–1028 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10407911/
Jensen, A. M., Stevens, R. J., & Burls, A. J. (2016), “Estimating the Accuracy of Muscle Response Testing: Two Randomised-order Blinded Studies,” BMC Complementary and Alternative Medicine, 16, 492 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5131520/


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