
慣れたあとには、違和感は残りません
違和感は、消えるのでしょうか。
新しい環境に入ったとき。
初めてその場所を訪れたとき。
最初は、小さな引っかかりがあります。
少し息苦しい。
どこか不自然だ。
何かがおかしい気がする。
けれど、その感覚は長く続きません。
何度も繰り返しているうちに、気づかなくなっていきます。
問題が解決したからではありません。
認識しなくなるのです。
人は環境へ適応する生き物です。
その力があるからこそ、どんな場所でも生きていくことができます。
けれど、その適応は、ときに最初の違和感まで静かに覆い隠してしまいます。
長く通う道。
毎日の仕事。
繰り返される人間関係。
当たり前になった習慣。
それらは、時間とともに「自然なもの」へ変わっていきます。
けれど、「自然に感じること」と、「本当に自然であること」は、同じではないのかもしれません。
振り返ったとき、不思議なことがあります。
最初に感じていた違和感は、消えていたのではありません。
ただ、認識の外側へ置かれていただけだったと気づくことがあります。
だから私は、違和感を急いで解決しようとは思いません。
まして、すぐに正しいとも、間違っているとも決めません。
ただ、その小さな引っかかりを覚えておきたいと思います。
人は、慣れることで生きています。
けれど、人はまた、違和感によって新しい景色にも出会います。
もしかすると、人間を理解するとは、「慣れたあとには見えなくなるもの」を、もう一度静かに見つめ直すことなのかもしれません。