
『君の名は。』の時間を心に重ねる
彗星が夜空を裂き、二人の運命が重なり合う。
『君の名は。』を観終えたあと、心に残ったのは、その鮮やかな映像ではありませんでした。
「誰かを探している」という、あの説明のできない感覚です。
瀧も三葉も、理由はわからないまま、何かを失ったような気持ちを抱えながら日々を過ごしています。
それが誰なのか。
何を探しているのか。
本人にもわかりません。
それでも、その感覚だけは消えることがありませんでした。
この映画を観ていると、私たちにも似たような時間があるように思えてきます。
初めて訪れた場所なのに懐かしく感じたり。
名前も知らない誰かの言葉が、なぜか胸の奥に残り続けたり。
理由は説明できなくても、心だけが先に反応しているような瞬間があります。
劇中で描かれる「結び」という言葉。
それは、人と人を結ぶことだけではなく、時間や記憶、離れていたものが、もう一度つながっていくことでもあるように感じました。
だからこの物語は、「出会い」の話というより、「思い出していく」物語なのかもしれません。
たとえ名前を忘れてしまっても。
たとえ理由を思い出せなくても。
夕暮れの光や、風の匂い、何気ない景色が、その奥に眠っていた何かを静かに呼び起こすことがあります。
映画の終わり、二人はすれ違います。
そして振り返り、言葉を交わします。
「君の名前は」
あの場面を見ながら、私は別のことを考えていました。
私たちは人生の中で、本当は何を探し続けているのでしょうか。
-- 新海誠監督『君の名は。』を観て